Podcast「超相対性理論」にて紹介されていたため手に取った一冊。毎月1冊くらい新書を読みたい気持ちがあり、ジャンルを問わず手に取るようにしています。
新書にしてはかなり珍しい読み応え。詩を捉える感覚やインスピレーションを、誰かの言葉や体型に則って解説するのでなく、著者の感じている質感や手触りを直感的にトレースする。そんな不思議な体験ができました。
同じ音声でもあてがう文字で意味が変容する日本語の特質さを突く表現。
一つの単語に重層的な喚起力を持たせ、目の動きをコントロールすること。
そして意味や役割を離れて、水たまりや鉄塔のようにただ詩を存在させるということ。
様々な現代詩人の代表作を通じて、人々が詩に感じる距離感やわからなさを解きほぐします。
説明してもしきれないこと、余白や未知の存在を認めることで閉ざされていた自分の感じ方がまた新たに開かれていくこと。大量の情報の中から好ましそうな情報だけが勝手に「おすすめ」されてしまうような現代にこそ、詩の不思議さに真剣に飲み込まれてしまうことは心のケアになるのかもしれません。