
大好きな村田沙耶香さんの短篇集。
全8篇からなる本作ですが、その中で1つ、心に引っかかる作品がありました。
それは「気持ちよさという罪」というお話です。
「個性」
「多様性」
それぞれの言葉の、本当の意味をわかって使っている大人はどれくらいいるでしょうか。
なんとなくその言葉を使って、気持ちよくなっていませんか?
私はとても愚かなので、そういうなんとなく良さそうで気持ちがいいものにまんまと呑み込まれていましたし、これを読むまでそのことに疑問さえ抱きませんでした。
自分が気持ちよく使っている言葉で、誰かを不用意に傷ついているかもしれない。
そう思うと、言葉の本当の意味を知らずに使っていることが気持ち悪く思えてきました。
村田さんはこのお話のなかで、自身の罪を書かれています。
「私は子供の頃、【個性】という言葉の薄気味悪さに傷ついた。それなのに、【多様性】という言葉の気持ちよさに負けて、自分と同じ苦しみを抱える人を傷つけた」と。
村田沙耶香さんの作品を紹介するとき、幾度となく「個性的」というワードを使ってきました。
好きだからこそ、もっとたくさんの方に知ってほしいからこそ、他と違う魅力があるんだと伝えたくて使っていた言葉。それが、遠回しに傷つけることになっていたのです。
本が好き、日本語が好き
だからこそ、言葉の意味を気持ちよい面も吐き気がするほど絶望的な面も知ったうえで発信できるそんな大人になりたいと思いました。