
自己啓発書ってなんか苦手だな~という方、いらっしゃいませんか?
私は自己啓発書にどこか苦手意識を持っていましたが、この本でその理由についても思案を巡らすことができました。
かつて読書は、岩波書店に代表されるような翻訳書や哲学書、戦争や貧困を扱うルポルタージュなど、インテリ層のものだった。しかし高度経済成長期、長時間労働に追われるサラリーマンが増える中で、出版社は教養を働く人の手に届けようとする。英語や記憶術、成功する企業の話など、「明日の仕事に役立つ知識」の本が出版されるようになった。
2000年代になると状況はさらに厳しくなる。就職氷河期、新自由主義の広がりの中で、人は常に自己啓発を求められ、「どう生き残るか」「どう勝つか」といったテーマが主流になった。その結果、人は内面へ向かい、自己分析や自己理解といった本が並ぶようになる。しかし考え続けるほど不安は増え、やがて「とにかく動け」という行動主義へと行き着いた。つまり、出版社が時間のない労働者層でも手に取りたいと思えるテーマを、時代の不安に沿って供給してきたのだといえるのだとおもう。
本書は、読書と労働の関係を社会学的に分析しながらも、非常に読みやすい一冊です。長時間労働で余裕がなくなるからでしょ!と読む前から短絡的に決めつけそうになりましたが、その姿勢こそが余裕のなさの表れだと内省させられた作品です。
話題作すぎて読んでいない!という方もいらっしゃると思いますが、気になった方は是非手に取ってみてください。