
『ナラティブ・アプローチ』
それは、己の手で、声で、言葉で自身の物語を『物語』ること。
光莉と日比谷、かつて同じ一人だったかのような彼女たちは邂逅する。
「なあ、小説はもう書いてへんの」
彼女たちは小説を書くことを通じて、
自分で自分を語ることが持つ力を突き詰めながら、
その先にある『物語』らないことの力にまでたどり着く。
光をあてるべき場所にまっすぐに臨み続ける坐った潔さが、
煌めきに満ちた一瞬一瞬となって、止めどなく流れだす。
感じたことのない特別な疾走感を覚える読書体験でした。
上村裕香さんの紡ぐ言葉のリズムはほんとうに心地よく、
しかし時折、飛び跳ねるように深いところまで突き刺しに来る。
温かさと冷たさが同居した、それでいて確かな温度感のある文章が大好きです。
全力で応援したい作家さんです。
「たぶんな、もっと暴力的なことやで。自分だけの『ほんとう』を手に入れるってこと。
世界ってクソやろ、ずーっと。クソで、死にたくて殺したくてたまらんこの世界を」
「この世界を、上書きするってこと」