目が覚めると、男は知らない島の知らないアパートの一室にいた。
そこは地図にも描かれていない、忘れ去られた島。
喋るカカシは未来が分かり、毎日決まった時間に散歩をする元画家は逆のことしか喋らない。
ちょっぴり不思議な人たちが住む、のどかで平和なその島で、ある日事件が起こります。
カカシが何者かに殺されたのです。
——未来の分かるカカシなのに、自分が殺される未来を予知できなかったのだろうか?
現実なのかファンタジーなのかよく分からないような不思議な世界観。
主人公が、最初はその不思議な島に困惑しつつも段々と受け入れていくのと同じように、いつの間にか私もその不思議さを自然と受け入れていました。
登場人物みんなが愛らしい。
優しくて、やわらかくて、あったかいお話です。
カカシはなぜ、誰に殺されたのか。
ちょっとずつ散りばめられていく伏線に、わたし自身も推理しながら読んでいました。