おしいれのぼうけん/古田足日 田畑精一
森の図書室

おしいれのぼうけん/古田足日 田畑精一

2022.10.26

記憶の中で私にはもう二度と読んでやるもんか!と思った絵本が2冊あります。どちらも幼心に怖かった覚えがあるからです。
そんな因縁の一冊を森の図書室で見つけてしまいました。とはいえ、トラウマ本だと言いつつも実はタイトルもお話しもぼんやりとしか覚えていませんでした。それでも「怖かった」という感情だけはしっかり覚えているのだから、お話の内容は未だに衝撃的なはず、と読み返しました。しかし、記憶の中の恐怖心は微塵も浮かばず、むしろ押し入れが繋がっている世界が高速道路という妙に現実味のある場所で笑ってしまいます。道路の両端に火を持って両手を上げているネズミとかとてもシュールで、愛らしささえ覚えてしまいます。子どもの頃は大きい穴は別の世界に繋がっているし、絵は動き出すだろうという無限の想像力があったのでしょう。怖かった理由はきっとそれで。今では想像や空想をしてもそれが現実と繋がらないことや人間の顔のように見える壁のシミを見ても「あー、シミュラクラ現象ね」なんてませたことを考えてしまいます。世界に干渉出来るほどの空想ができなくなってしまったのは少し残念ですが、過去の自分と現在の自分の視野がどんなふうに変わったかを比較できるのはとても面白かったです。  絵本のみならず、今まで出会ってきた本に対しての考えは日々変わっていくのかもしれません。もう一冊の絵本も今度挑戦してみようと思います!

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