人間の、複雑で繊細な心の移り変わりを物悲しく、切実に描いてくれるマラマッドの短編。 2篇目の“引出しの中の人間”が特に好きです。自分が置かれた環境の中で、それぞれの立場から気持ちの置き場を迷ってしまうことはよくありますよね。 状況とは違えども、登場人物の心情に共感し、自分の身の回りで起こる小さい日々の出来事にも思いを馳せながら読みました。