妻に先立たれた俳優、変わった友人の彼女と会うことになった大学生、初めて本気の恋をした医師など、様々な形の「女のいない男たち」を描いた短編集。
題名にもなっている「女のいない男たち」では、突然元恋人の訃報を彼女の夫を名乗る人物から聞かされた男の回想が語られます。
一度愛した女に去られてしまえば、男は”女のいない男たち”になる。そして一度なってしまえば世界は不安で、広大で痛切なものに変わってしまう。そんな世界の中で人は自分なりの愛を見つけていく。
何かを失うことは時に世界の見え方すら変えてしまうのでしょう。その一方で失うことで見えてくることも必ずある。去ってしまった、または去っていく女たちの後ろ姿を見つめながら自身も見つめ直させられているような気がしました。