ピンクとグレー/加藤シゲアキ

小学生で出会いずっと一緒に過ごしてきたごっちとりばちゃん。共に芸能界デビューを果たした2人の決別と再開の物語。

NEWSのメンバーである加藤シゲアキの作家としてのデビュー作。アイドルの彼の姿を先に知っていたので、「こんな本を書くのか！」ととても衝撃を受けました。

現役アイドルの書く芸能界を舞台とした青春小説ということで勝手に爽やかで小綺麗な物語を想像していましたが全く違いました。

ごっちとりばちやんの決別の理由ともなった”嫉妬”という感情。それを身近な存在に抱いてしまうのはとても厄介です。知っているからこそ比較できてしまう苦痛と、成功を祝福できない罪悪感、そして無意識に相手を見下してしまう瞬間。自分の中のそんな醜い感情に気がついたとき、関係の破綻へと繋がっていってしまいます。

同じ舞台に立ちながら、明確な差が生まれてしまった2人の生々しい感情は、今まで生きてきて何度も経験のある嫌ですが共感出来てしまうものでした。