「特別縁故者に、俺はなる」
なんてセリフがあっていいんでしょうか…?
幸も不幸も混ぜ合わせた全六篇。
その根底には、湿っぽい地下室のような不愉快さと冷たさがあって、最初の方は耐え難い気持ちでいっぱいになるかもしれません。
後半に進むにつれて、心の輝きがプラスになる物語が多く、安心して読むことができました。
コロナ禍×犯罪をテーマに、高い解像度で2020年〜2023年の日本の様子を描写しているのがどれも印象的。その時期に大学4年〜就活を経験した自分に、とても深く刺さりました。その閉塞感を作品として大切に残してもらえて、嬉しいような気もします。
第171回直木賞を受賞した、昨今で話題のある作品にもなります。短編で読みやすいので是非。