多くの人が使う電車。阪急電車今津線にはどのよつな人たちが集まっているのでしょうか。図書館で見かける女性?結婚式帰りの白いドレスの女性?バカップル?元気な高校生?
電車はとても中途半端な時間が流れている。特に普段使いするような電車は、どこか居心地が悪く手持ち無沙汰だ。本を読むにあまりに短く、スマホを眺めるには少し長い。車窓や吊り革広告には飽き飽きし、唯一変わるのは“乗客”と“時間”だ。たまたまそこに乗り合わせただけの関係が、交わることで微小に変化し折り合いをつけていく。そんな刹那を捉えた小説です。今津線(物語内)では、折り返し地点があります。折り返すからには反対に進みます。ここで描かれる多くの人の人生も、折り返し地点があります。それは誰も同じで、きっとどこかで“人生の折り返し地点”なるものがあるはずです。決して人生100年時代だから、50歳が折り返しというわけでは無く、それは10代かもしれません。もしかしたら、何度もくるのもかもしれません。私も、私という電車の“乗客”であります。時間が織りなすなかで、どこか自身の変化に気づきたいものです。
話は少し変わりますが、阪急電車はいいものです。東京の電車と違って、椅子が柔らかくて居心地がよいです。想像以上に揺れる車内も、それがよいのです。阪急電車に揺られ、何かを振り返り、終点に着く様は、“人生”そのものかもしれませんね。少なくとも私は、そんな人生に憧れます。