「なんかちょっと、怖いんだよな〜」という理由で、これまで手にとることができなかった作品。
しかしこの間の台風がきたとき、なんとなく時間があったので読んでしまいました。驚愕でした。怖いというより、人間の本性をグロテスクに描き通す、気迫のようなものを感じます。
15年前の本屋大賞を受賞した本作ですが、ここ最近の受賞・ノミネート作品と比べると雰囲気の暗さや意地悪さが際立って感じます。
今では考えられないような教育現場の風通しや管理の劣悪さが描かれていますし、それは学校だけでなく社会全体にも通じていたことなのかもしれません。
ここまで鋭利な表現を選んだことに、その時の筆者の強い意志や訴えかけがあるように感じます。
その純度の高さからくる緊張感に、唯一無二の読書体験ができる作品です。