『「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」
元彼の森川栄治が残した遺言状に導かれ、弁護士の剣持麗子は「犯人選考会」に代理人として参加することに。
数百億円ともいわれる遺産の分け前を勝ち取るべく、麗子は自らの依頼人を犯人に仕立て上げようと奔走する-。』
女性弁護士を探偵役とした、斬新な導入が目をひく「このミス」受賞作です。
金に目がなく、しかし信念のある主人公のキャラクターに、疾走感をおぼえながらテンポよく読み進めることができます。
法律や法人に関わるトリックが様々で、刑事ドラマにも似た王道なミステリ感覚で安心して読むことができます。
そして、主人公自身が事件の関係者であるために、彼女の介入がリアルタイムで事件の形を変えていく様が楽しいです。
ひとりひとりのキャラクターが無駄なく個性的な躍動をする中で、
主人公自身も意気揚々と事件に挑んでいく、ある種の成長譚とも、サクセスストーリーとも言える気がします。