「嫉妬したことがある全女子に読んでほしい」
ふらっと立ち寄った本屋で目にしたPOPに吸い寄せられ、手に取りました。読み進めると、自分の心の底に無理やり眠らせて見て見ぬふりをしていた感情たちが生々しく思い出され、わかるなぁと共感するばかり。同時に、そんな黒くてねじ曲がった気持ちは意外に皆感じてるものなのかとほっとしました。
“好き”だけではどうにもならないモヤモヤ、女子同士の”仲良し”を演じ続ける裏側にある苦悩、感じたことはありませんか…?
本作は、歪な三角関係に巻き込まれる主人公や登場人物に対して感情が揺れっぱなしの表題作『かわいそうだね』と、女子の友情と思春期において絡んでくるルックス問題に葛藤する主人公を描いた『亜美ちゃんは美人』の二篇で構成されています。
分量も程よくそれぞれ一気読みしてしまいましたが、女性心理が鋭く鮮烈に描かれている綿矢さんの文章に魅せられた時間でした。