『近畿地方のとある場所について』や数々のフェイクドキュメンタリーが流行している現在。
しかし元を辿れば、それは「都市伝説」や「検索してはいけない言葉」のようなワクワクの延長線上にあるものな気がします。
「きさらぎ駅」「くねくね」「ひとりかくれんぼ」「リミナルスペース」etc…ご存知の方も多いのではないでしょうか。
これまで体系的に語られてこなかったネット発の怪談やホラー。
当時のインターネットを身を持って体験していた著者が、自身の経験と民俗学の知見を踏まえながら、その生態系を描いています。
不特定多数の参加者による「共同構築」、テクノロジーの進歩により変容する「オステンション(やってみた)」、ネット怪談とネットホラーを中継として機能する「再媒介化」など、様々な視点からインターネット発の恐怖に迫ります。
特に目を見張るのが、「スレンダーマン」など海外発のネットホラーにも視野が届いている網羅性です。
今後のネット怪談研究の、広い登竜門となるような一冊ではないでしょうか。