名探偵のままでいて/小西マサテル
森の図書室

名探偵のままでいて/小西マサテル

2025.03.14

素晴らしい作品です。良質なミステリはコース料理の美しく、登場するキャラクターたちの愛らしさは、その机を彩る花束のよう。

「かつて小学校の校長だった切れ者の祖父は、幻視や記憶障害といった症状の現れるレビー小体型認知症を患い、介護を受けながら暮らしている。しかし、小学校教師である孫娘の楓が、身の回りで生じた謎について話して聞かせると、祖父の知性は生き生きと働きを取り戻すのだったーーー」

認知症の祖父という、安楽椅子探偵ものでは王道な特殊設定の探偵役ですが、
煙がかった幻覚をそのまま体現するような彼の語りは魅惑的で、ミステリの面白さ以上に読んでいて安心感が湧きます。
何より、連作短編に見せかけて仕掛けられた一本の伏線が最後に回収されるのも気持ちイイ。
どんな読み口で切り取っても楽しさが堪らないし、最高のハウダニットを求めている方にも送りたい、星5間違いなしの作品です。

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