アニメ化もされた「小市民シリーズ」の最新作にして、描かれるのはこの長い物語の終着点。
小市民を志す小鳩君は大学受験の直前に轢き逃げに遭い、病院に搬送された。目を覚ました彼は、朦朧としながら自分が右足の骨を折っていることを聞かされる。翌日、手術後に警察の聴取を受け、昏々と眠る小鳩君の枕元には、同じく小市民を志す小佐内さんからの「犯人をゆるさない」というメッセージが残されていたーー。
ベッドの上で事件の真相を読み解いていく小鳩。そして小佐内さんからの奇妙なメッセージ。
これまで語られることのなかった彼ら二人の中学時代の汚点、小市民を志すに至った事件へと記憶は戻り、
過去と現在が倒錯する形で物語は進みます。「小市民」シリーズ最終作にして最大の面白さ。
何より、シリーズ全てをこの一作でまとめあげ、バリューアップする米澤穂信の手腕。圧巻です。
少しずつ人物の口から語られていく、これまで隠されていた事実。
その驚きへの興奮と哀愁のある描写に、集中力が切れることなく一気読みしてしまいました。
もしシリーズを読んだことがある/見たことがあるという方には絶対に手に取って欲しいです。