全5章にわたり紡がれる優しくも醜く、尊い物語。
全ての章のタイトルにも入っている”花”が今回のキーワード。
犯罪者だと町で噂されていた葛城平という老人と女子高校生の安珠が出会うことで物語は始まります。
安珠と出会って間もなく、平は自室で孤独死を遂げます。
生前より彼のことを気にかけていた安珠は、いろいろな人の協力のもと、彼の過去を調べ始めます。
調べていくうちに、意外な過去を知る安珠。
それがどんな過去でも、彼女は平を知ることをやめなかった。
読了後、この本はずっと手元に残したいと思った1冊でした。
すごく大きなドラマがあるとか、どんでん返しがあるとかではありません。
ただ、キャラクターそれぞれの言葉がとても愛に満ちているのです。
「最後まで、生きていくしかないんだよねえ。どれだけすれ違っても、大事な相手も一所懸命生きてると思って、願って。ひとは、それしかない。たまに会えたらめっけもんさ」
わたしはこの作品に出会えたことが”めっけもん”だと心から感じることができました。
みなさんの心に、愛で満ちた言葉という花が届きますように。