中島京子さんの文章を読むのはこれが初めて。
表紙のイラストが愛らしく手に取りました。
タイトルにもある通り、この本には様々な”坂”が出てきます。(主に文京区)
またその坂を舞台にした小説や文豪なども出てくるので詳しい方はより楽しめるのではないでしょうか。(詳しくなくてももちろん楽しめます)
主人公は、大学進学を機に富山県から上京してきた坂中真智。
彼女の祖母、澄江の親友だった志桜里の家へ下宿するところから物語は展開していきます。
全7章からなる本作。
個人的に、主人公の真智の心情メインで進められているのがよかったです。
彼女の周りを様々なキャラクターが行き交いますが、あくまでこれは”まち”の話。
その辺りがずっとブレることなく、変に伏線張ることなく、ちゃんと想像できる日常で私は結構好きでした。
そして、下宿先のオーナー志桜里さんがとにかく”坂”マニア。リビングの一角に周辺の坂が舞台になった作品を集めてことある毎にその本を取り出し饒舌に語り出す。
このちょっと面倒な感じが愛おしいですよね。
ヲタク気質の人、好きです。
(自身もヲタクだからかもしれませんね)
なんとなく、ふっと肩の力を抜きたいときに手に取りたい作品。
本棚に飾っておきたいなと思う一冊でした。