映画化されると知って、映画を観る前に原作を読んでおこうと思い手に取りました。
吉田修一さんの作家生活20周年記念作品として世に放たれた渾身の大作。
上下巻でページ数はそこそこですが、読了まであっという間。文字から伝わるエネルギーがすごいです。
任侠の一門に生まれた、立花喜久雄。
生まれながらに有名一門の御曹司、花井俊介。
ある事件をきっかけに、喜久雄は俊介と共に生活することとなる。
血族との深い絆と軋み、スキャンダルと栄光、幾重もの信頼と裏切り。
極道と梨園。
生い立ちも才能も違う若き二人の役者が、
芸の道に青春を捧げていく。
私は下巻282ページからの2章、涙が止まりませんでした。
極道も梨園も、私からしたらテレビやフィクションでしか知り得ない世界。
そんな世界は、こんなにも残酷で、猥雑で、生臭い。
だけど、美しく、熱く、格調高い。
己が信じた道をただひたすらに走り続けた男たち。
そんな男たちに魅了され、腹を決める女たち。
全ての人間が本気で生きていました。
映画では原作の一部が語られていないという噂もありますので、すでに映画をご覧になった方は伏線回収のような気持ちで、映画をまだ見られていない方は下準備をする気持ちで本作を手に取ってみてください。
私も急いで劇場に行ってきます。