“続編”と名のつくものたちの中で、私の中では1番を取った、完璧な続編でした。
前作の「汝、星のごとく」は一年ほど前に読んでいたのですが、この一年ふいに本の一節を思い出す事が多くて、読めてなかった続編があったなぁと思って手に取りました。
三つの短編からなるのですが、前作で私が大好きだった北原先生の過去の話が、一編目に入っています。こんな事情を抱えて生きていたのかという驚きと共に、「善人」と「弱者」の重なり合いについて自省をこめて考えさせられました。
全ての編について語りたいところですが、長くなりそうなので最後に一編目の「春に翔ぶ」より引用させていただきます。
「今の時代、善であることと弱者であることは、時に同じ意味を持つ。天秤はいつだって不条理に揺れ、与えた情けの分まで正しく秤られることは稀だ」