レゾンデートルの祈り/楪 一志
森の図書室

レゾンデートルの祈り/楪 一志

2026.02.24

もし日本に〝安楽死〟制度ができたら。

物語の舞台は安楽死が合法化された未来の日本です。しかし、受理される為には一定の条件を満たす必要があり、申請してから最低でも1年間は執行することができません。また希望者は指定の回数、「アシスター」と呼ばれる職員との面談が義務付けられています。

目の前に死を懇願している人がいる。どれだけ寄り添いたくても、親身に考えたくても、「死」とは不可逆なもので自分の身に訪れるまでは他人事の範疇を超えることはありません。

自ら死を選ぶ事に批判的な意見を持つ人や、理解し難いと嫌悪を示す人は一定数存在します。
「親や周りの人間の気持ちを考えたのか」「命を絶つことは罪に等しい」そんな厳しい言葉は後を絶えません。

ずっと考えていました。「自死」とは悪なのか、間違いなのか。
しかし最後まで結論が出ることはありませんでした。
「死」という言葉を口にすることは簡単ですが、それを定義し、一般化することは不可能に等しいと。
どうしたって分かるはずがないのです。たった1文字の「死」に至るまでには、複雑に積み重ねた人生が、本人でさえ言語化できない名前のない感情が、あるかもしれない。
きっと悪や間違っているといった物差しで測れる事ではないのでしょう。

私にできることがあるとするならば。それは考える事。
たったそれだけです。
完全に理解することが叶わないならば、考え続けるしかない。

どうしようもなく辛い時、この物語が脳裏をよぎります。
ただ苦しいだけじゃない。悲しいだけの物語じゃない。

〝レゾンデートル〟は言葉に出来なくてもいいのです。

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