私は東京が好きです。深夜、タクシーの窓から東京タワーのぼんやりとした明るさを見留める瞬間まるで自分に不可能なんてないんじゃないかという気持ちになれます。けれどきっとそんなものは幻想で、私だって精々自分の半径2m以内を世界の全てだと思い込み生きていくしかないのではないか。東京タワーの全てを受け入れてくれそうな輝きに触れたくて、それが幻想だとは思いたくなくて胸を焦がす夜をあと何回迎えることになるのか。今の時代にしか感じることができないであろう感情を抱ける一冊なのかなと思います。