「雑多な世界から隔離されたかのようなその空間に、いつまでも浮かんでいたかった。」
美術館の雰囲気って本当に特別で、どこまでも澄んだ空気と目の前にある大きな大きな絵。他にお客さんもいるのに、他の絵だって沢山あるのに、何だかこの世界に私とこの絵が一つしか無い気さえしてくる、不思議な場所です。
そしてそれを「空間に浮かんでいたかった」と表現する作者の豊かさに、美しさに、いつまでも浸っていたいくらいうっとりました。
生きることに対して少し不器用な女性と絵の出会いから織りなされる6つの短編集。
もしかしたら、特別な絵画との出会いになるかもしれない一冊です。