「我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心との所為である。己の珠に非ざるを惧れるが故に、敢て刻苦として磨こうともせず、また、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった」
山月記は中学の国語の教科書で習い、言葉一つ一つを暗記するほど読み込んだ大好きな文章です。
自分は特別で何か偉業を成し遂げる、何かを遺せる人になれる…そんな感情を幼い頃は何故だか抱いていたように思います。
しかし、自分が特別でないことが露わになることを恐れてさらに上のステージで極めようとはせず、また、プライドだけは高く仲間を下に見て群れようとしない。そうすると猛獣になってしまう。
自分の弱さを受け入れて、謙虚な姿勢を忘れない、私にとって大切なことを教えてくれた本です。