“傲慢さと善良さが、矛盾なく同じ人の中に存在してしまう、不思議な時代”
“ピンとくる、こないの感覚は、相手を鏡のようにして見る、皆さんご自身の自己評価額”
これを、「恋愛小説」と括られることにものすごい違和感を覚えます。確かに恋愛を軸にした小説ではあるのだけど、そこで描かれているのはより大きな社会構造、人間性。
登場人物のことばが、何故か自分に向けられたもののように感じることもしばしば。読みながら何度も苦しくなり、泣きそうになりました。それくらいの言葉の威力が、辻村深月の作品にはあるような気がしています。
大切な一冊になりました。是非、読んでいただきたい作品です。