私の兄曰く、辻村深月さんの作品の中でこの本が1番好きだそうです。
ドラえもんを愛する主人公は、人や物事の性質にSF(スコシ•ナントカ)と名付ける独特の遊びをしています。自分のことはSF(少し•不在)でありどんな場面でも当事者になることは決してなく、どこにいても自分の居場所とは思えない。
SF(少し•腐敗)の元カレやSF(少し•フラット)な別所あきらとの関係の中で物語はどんどんと進んでいきます。
心の中では相手を馬鹿にしながら不器用に相手と接する彼女の姿に、共感する部分はありつつ、同時に併せ持つ傲慢さの存在に気付いて内省させられます。
友達や恋人と一緒にいても、どこか淋しかったり、自分を演じているように感じたり、居場所がないと感じる方に読んで欲しい、辻村深月さんが書くSF(少し•不思議)な物語です。