「窓の外を通り過ぎていく十一月の日曜日眺めた。何もかもがすきとおってしまいそうなほどの十一月の静かな日曜日だった」
無に向かう人生、出口のない生活、そんな何もかもがただ惰性に繰り返される。
だけれども、あとで後悔しないように生きてるうちに愛しておく、小さな世界で完璧さを打ち立てようと努力する、世の中に失われないものがあると信じる、そうすることでどうにか息をすることができる。
村上春樹さんの小説は私にとってはいつも難しく、自分の中に落とし込むのに時間を要するのですが、この本はこの世界を生きる理由が表現されているのではないかと感じました。