正欲/朝井リョウ

「自分が想像できる”多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな」

「マイノリティを利用するだけ利用したドラマでこれが多様性だとか令和だとか盛り上がれるようなおめでたい人生じゃない」

“多様性を尊重する社会にしよう” “自分に正直に生きよう”
なんの変哲もない最近よく聞く言葉たちのように見えますが、この本を読む前と読んだ後で感じるものが変わります。
あらゆる人・ものを理解し受け入れていきたい、そう思っていた自分の安易さや浅はかさをこれでもかと痛感させられました。

11月10日に映画も公開され、先日観に行きましたが、小説とは違った映画だからこそできる表現や音の演出に心が揺さぶられました。

自分にとって出会えて良かったと思えた物語です。