双子の兄弟であるアリオとユリオ、そしてその幼馴染である深雪は共通して同様な欲望を抱えていた。それは、一般的には共感されにくく、受け入れ難いものである。中学2年生の時に、ユリオが自殺した。自身のその衝動を抑えきれず、また、彼を取り巻く環境もその衝動を加速させていた。アリオは、かけがいのない存在であったユリオの死をきっかけに、周囲の異変や連続する殺人事件によって驚愕の真相を解明することになる。概要だけではサスペンスものの様に映りますが、佐野徹夜さんらしい青春の描写が繊細に描かれています。全て最後は“愛”に収束し、「愛とは何だ」という全人類が抱える哲学に落とし込まれますが、その形の1つが綴られています。
個人的に佐野徹夜さんと表紙のloundrawさんが大好きで、色眼鏡ではありますが、とても読んで良かった本だと思ってます。好きな人や好きなものの好きな所を説明するのはすごく苦手ですが、なんと言うか”らしい本”を読んだなという印象です。切り取る青春が、描かれる愛が、全ての描写が佐野徹夜さんらしいと思います。佐野さんにとっても自身3年ぶりの出版です。ぜひ一度手に取ってみてください!