「死にたくなるほど苦しい夜には、これは次に楽しいことがあるときまでのフリなのだと信じるようにしている。…. 得体の知れない化物に殺されてたまるかと思う。反対に、街用で待ち伏せして、追って来た化物を『ばぁ』と驚かせてやるのだ。そして、化物の背後にまわり、ころょこちょと腹をくすぐってやるのだ」
1990年、大阪府寝屋川から上京した又吉さんが過ごされた東京の馴染みの深い百景が、その想い出とともに記された一冊です。現実と空想を行ったり来たりしながら、又吉さんの頭の中を覗かせてもらっているような感覚になります…!
私自身も2年前に上京して東京という場所が息苦しく感じることがよくあります。
辛く憂鬱なときであっても、たとえば道端のゴミ箱、神社の亀、開かずの踏切…そんな何気ない日常が頭の中を通りこして広くて愛らしい物語につくりかえられていく。こんなふうに自由であっていいんだと優しく包み込んでくれます。
数ページで書かれた一景が百個かかれているので、忙しい方でも少しずつ楽しく読み進められると思います!ぜひ電車の中や待ち時間に読んで、くすっとしてほしいです!!!