かがみの孤城/辻村深月
森の図書室

かがみの孤城/辻村深月

2024.04.06

「こころが東条さんに『萌ちゃん』と話しかけた時、東条さんが困ったように『何?』と上げた時の表情。そこに、はっきり、『迷惑だ』という色が滲んでいた。みんなの前で一特に、真田さんたちの前で話しかけないでほしい、とはっきり、顔に出ていた」

学校で居場所をなくし、閉じこもるようになったこころ。転校当初仲良くしていた東条萌に話しかけた時に、何か違うと悟るに至った表情がこう描写されています。

私がこの本を初めて読んだのは中学2年生の頃でした。揉め事の多い部活の中、力のバランスが日に日に少しずつ変化する。その変化をいち早く読み取って、自分が標的にならないように関係を構築していく。そんなことをしていた私には、このこころの言葉が痛いほど分かって身に覚えがあって苦しくなったのを覚えています。

中学生って小学生と比べると少し賢くて、高校生と比べると少し幼くて、1番不安定な時期だったと感じます。1人では何もできないから力のある子に誰も抗えなくて徒党をくむ。

最後にみんなの想いが絡み合う、
優しい物語です。

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