『蜜蜂と遠雷』のスピンオフ作品。「大好きな彼らにもう一度会える!」とワクワクしながらページをめくったのを覚えています。 本編の『蜜蜂と遠雷』は若き天才たちを中心に描かれていますが本作はそれ以外の登場人物が深堀りされていく短編集です。 印象的だったのは天才少女亜夜のサポートとして登場していた奏の、運命のヴィオラとの数奇な出会いを描いた『鈴蘭と階段』。 「これしかない!」と思えるものとの出会いというのはいつだって突然で、否応なく自分を変えてしまうような衝撃を孕んだものだと感じました。 他にも2人のプロピアニストの若き日の思い出や、作曲家の思いなど本編では描かれなかった魅力の溢れた短編集です。 読み終わったあとにもう一度『蜜蜂と遠雷』の中のみんなに会いにいきたくなりました。