「彼のことを、私と息子は博士と呼んだ。そして博士は息子を、ルートと呼んだ。息子の頭のてっぺんが、ルート記号のように平らだったからだ。」
こんな書き出しで始まる一冊です。2004年の本屋大賞を受賞した作品で、名前をご存知の方も多いと思います!
家政婦をするシングルマザーの杏子が、80分しか記憶が持たない天才数学博士のもとに派遣されるところから話は始まります。
なんといっても杏子の10歳の息子と博士の会話がすごく暖かくて悲しくて心がじんわり柔らかくなるのを感じます。
素数、ルート、完全数、三角数、虚数…昔嫌というほど目にした言葉たちですが、博士の言葉で耳にすると、とても美しく、彼にとっての宝物をこっそり教えてもらっているような気がしてきます…!
中学•高校時代に数学が嫌いだったあなたにこそ呼んでいただきたい一冊です。