高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、若者たちの運命が、鮮やかに加速していくーー。
物語の主人公は、
「オルタネート」を用いて絶対の愛を探す凪津(なづ)、
全国配信の料理コンテストのリベンジに臨む蓉(いるる)、
高校を中退し、音楽家のシェアハウスに潜り込んだ尚志(なおし)
の、高校生3人。
作中に出てくるマッチングアプリが本書のタイトルとなっていますが、あくまでそれは、少年少女の機微を切り出すための一要素。
主軸として描かれるのは、彼女たちの群像劇、そしてつながりを作ることの難しさです。
人と人とが出会い、つながり、別れていくとき、そこにはどんな想いがあり、どんな言葉が必要なのか。シンプルな課題ですが、それは大人になってもずっと付き纏い続けるものだと思います。
誤魔化すことなく、そこに真っ直ぐ向き合う高校生たちの姿に、ほろ苦く、しかし澄んだ青さを思い出し、心打たれました。