「なんというか、ひらがなで表すなら『あやめ』じゃなくて『つくし』みたいに、すべて一筆で書けてしまうけれどよく見るといろんな方向に開いているような、ナツ先輩はそういうひとだ。」
「海を分母に、空を分子にしたら、1を超えるのだろうか」
「きっと、足し算よりも簡単で、ほうきで空を飛ぶより難しいことだった」
全5作からなる短編集ですが、出てくる登場人物たちはみんな大学生。大人と子供のはざまでなんとなく過ごしながら何か葛藤している日々。
将来への不安や期待と、人生への諦めと窮屈と、そのすべてのやるせなさが繊細な描写でえがかれています。
そしてなんといっても、朝井さんの独特な喩えの心地よさに触れるたびに日本語が読めてよかったと感じさせられました。
読み進めるうちに話が繋がっていってぐんぐんと引き込まれます。
ぜひゆったりとした日に読んでみて、「あの頃」を思い出してみてください。