百瀬、こっちを向いて/中田永一
森の図書室

百瀬、こっちを向いて/中田永一

2025.06.04

嫌いになる。
何よりも、誰よりも、自分自身に嘘をつく人がきらいだ。自らに勝手に言い訳して、環境とか他人のせいにして、そんな人が嫌いです。こと、恋愛においては、知覚することから避けるという嘘があります。気づいた・気づかれたがその関係性にとって、始まり・終わりの境目であり、必ず双方もしくはどちらか片方が折れるまでその障壁が残り続ける、そんなものです。タイトルにある“百瀬”は言わばヒロイン。気づかれる側です。対して主人公、ノボルが気づいてしまう側です。ノボルが“気づいた”瞬間には、単なるあやふやな関係が恋愛感情へと変化していきました。もちろん登場人物はこの2人以外にも複数存在しますが、各間柄における個々の想いや心情はものすごく複雑になっています。ノボルが知覚してから一気に関係値が整理され、展開されていくようなお話です。
また、本作は四編調になっており、『百瀬、こっちを向いて。』以外の3作も必読です。

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