〈森の図書委員今日のおすすめ本〉
『強いビジネスパーソンを目指して鬱になった僕の弱さ考』
「僕たちは、「強くなろう」とせずにいることがとても難しい時代を生きている」
という一文から始まる、手記のようなしかし分析と言語化に長けたエッセイです。
著者の井上慎平さんはNewsPicksパブリッシングの創刊編集長。レーベル創刊に力を使い果たし、重度のうつ状態(診断は双極性障害Ⅱ型)となり、長期間の休職を余儀なくされた経験を持ちます。
うつのどん底を抜けた彼の頭に浮かんだいくつもの問い。一部抜粋しますが、それは、
・そもそも「弱さ」「強さ」とは何か?
・なぜ、倒れてしまうほどに「強い自分」を演じたのか?
・弱さは「克服すべきエラー」なのか?
・なぜ、会社もビジネスパーソンも「成長し続けること」を求められるのか?
・僕たちは、いったいどんな時代を生きているのだろうか?
など、さまざまなものでした。
この社会における強さと弱さを問い直すために「思考の旅」に出た著者が気づいた、たくさんのまったく当たり前じゃないこと。
彼の隣で一緒に歩くような気分で、その「思考の旅」を追体験してみましょう。
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とても大切な内容なので、ストレートに概要を書かせていただきました。私が本書を手に取ったのはPodcast「超相対性理論」の井上慎平さんゲスト回を聞いたのがきっかけで、更に私自身、かつて心身を病んだ経験があったからでした。
彼が提言するいくつもの問いは他人事でないどころか、私が毎日のように思索しているものと全く同じでした。決してビジネスパーソンも、強さも弱さも否定せずに
この問いに立ち向かう井上慎平さんに、最大の敬意を感じざるをえません。
これからもっとたくさんの人に本書が必要とされ手に届くことを、心の底から望みます。