
いよいよ本屋大賞発表間近、ノミネート作品から最後に手に取ったのがこの「暁星」。
二度読み、間違いなし。湊かなえの新たな代表作です。
話は、文部科学大臣殺害事件を起こした犯人が獄中から綴る手記〈ノンフィクション〉から始まり、後半は一転して、その現場に居合わせた作家による小説〈フィクション〉が続く。
一体これはどういう話なのか。何が真実で何が嘘なのか。
2人の文章の辻褄が合わさるとき、1つのメロドラマが、防ぎようのない呪いが、運命の如き深愛が見えてきます。
湊かなえは、本当は人の不幸よりも幸せを描くのが上手い作家なのではないかと思いました。それ故、反転した不幸の形にも人一倍敏感であり、行き詰まった救いの無さにも豊かな想像が広がっているのかも、と。
「幸せの半分こは相手に多い方を、不幸の半分こは相手に少ない方を。」
緻密な構造の奥から次第に押し寄せる、途轍もない感情のエネルギー。
彼らの心で、言葉で。
それが最も美しい形で発露した先にある余韻は、これからずっと自分の中を漂うのかもしれないと思いました。