装丁の綺麗さと『人を好きになる気持ちが分からないんです』という帯文に惹かれて読みました。
人付き合いが苦手な主人公、海松子。大学進学と共に両親から一人暮らしを強制されるところから始まります。
海松子の飛び抜けた不思議ちゃん模様に最初は戸惑いました。
「人を好きになる気持ちが分からない同盟を組めるのではー?!」なんて思っていたのですが、突飛すぎてそれどころではありません。
海松子のコミュニケーションのコの字を書くことすらままならなそうな不器用さ!
相手の口臭から食べた学食を当てて話が広がると思ったなんて、何処からその発想が……。
スパイスの香りが、とか。歯にチンゲンサイが、とか。そんなこと言われたらこちらは会話どころではなくなります。
正直、最初は海松子も彼女の友達の萌音も苦手かもしれないと思っていました。
現実で出会ったらあまり深く関わらないかも、と。
しかし読み進めていくうちに彼女達の不器用さというか、独特な生き方をなんだか応援したくなってきます。
見た目や表に出てくる言動では量れない内面が徐々に形になってきた時に、ストンと受け入れられるのです。
そして海松子日常譚で鮮やかに回収されるタイトル。
オーラの発表会ってそういうことか! と思わず手を叩きそうになりました。
なかなか癖のあるお話ですが、ぜひご一読を。