「ーー彼が私のことを「ふたご」と呼ぶ時は、いつもこんな風に機嫌のいい夜だった。」
ひとりぼっちでピアノが友達だったなっちゃんに、破天荒な月島の世界。
小学校中学校高校大人と成長していく彼女は、人生の大半を彼に振り回されているわけです。
孤独だった彼女を「特別」にしてくれて、悲しいときには傍にいてくれた。
カッターを突きつけられても、一緒に音楽を創って、衝突してもなんだかんだ一緒にいる。
結局ふたごと言われても境界線がなくなるわけでも痛みが共有できるわけでもないわけで。好きな人に俺たちふたごだねって言われて嬉しいわけないよなぁと。
到底共感できる内容でもないのに、どこか親近感が湧いてしまうのは、武器用ながらに温かい文章だからなのでしょうか。
とても胸の詰まる1冊です。