高校時代、課外授業で同じ班になり”ちょっと不思議な体験”を共有した楡崎、戸崎、箱崎のザキザキトリオ。
東京の同じ大学に進学した3人がそれぞれ描かれます。
小説、音楽、映画、好きなものもそれにかける熱量も違う3人は大学に入ってから徐々に遠ざかっていきます。それは悲しい別れではなく、まるで「別れるために出会った」かのように自然に訪れるものです。でもたまに3人とも同じ”ちょっと不思議な体験”を思い出す。それぞれ感じ方は違っても同じ経験によって緩く繋がっているという関係は、決して人生で不可欠ではないけれど一生残り続けるのだと思います。
4年かけてやっと小説家になりたいと口に出せるようになった楡崎、ひたすら音楽にに打ち込んだ戸崎、ただただ見続けた映画を何故か職業にした箱崎。大学生活を経て、違う生き方を選択した彼らを見ていると自分も数年後には何を考え、何をしているのか、少し不安なような楽しみなような気持ちになりました。