この本は、私が衝撃を受けた本の一つです。読んだのは1年ほど前ですが、物語は起承転結とまで完璧には行かずとも「理解」が進むうちに楽しくなると考えていた私にとってこんなにも「分からない」ことを楽しめる本があるのだと感じたのを覚えています。特に表題作の「一人称単数」。掴めそうでつかめない。なのに何か大事なことを突きつけられたような気持ちになる。教えてもらっているような気がしてくる。 2020年に刊行された8作からなる短篇小説集です。ぜひご一読を。